『スマホ脳』
昨年秋に日本でも出版された、世界的なベストセラーの感想文を書きました。
皆さんの感想もお教え下さい。
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「スティーブ・ジョブズを始めIT起業のトップは子供にスマホを与えていない」というのは有名な話。
本書は、スウェーデンの精神科医の著者が
🔴スマホの使いすぎでIQと集中力が落ちる
🔴スマホが大衆のツールとなってから、鬱病患者がスウェーデンで激増している
…この実証データと現象が起こるメカニズムを、文化人類学・心理学の視点から紐解き、解決策を提示する本です。
私達は時として「集中力が落ちた/なかなか集中ができない」と嘆きます。
本来、それは「生存のために必要な習性=良いこと」のはずでした。
原始時代は、いつ猛獣や敵に襲われるか、分かりませんでした。
一つのことに集中して他のことに気づかないと、生命を脅かされる危険にありました。
だから、根本的に人は「集中できないように作られている」のです。
カロリーの高い食べ物を見ると、強烈に魅力を感じて食べてしまうのも、
食料を得るのが難しかった原始時代の
「食べられる時に食べられるだけ食べておけ!」という身体の命令が、
脳にインプットされているから。
原始時代から現代へと、生活スタイルがガラッと変わったにもかかわらず、
私達の身体や脳の進化のスピードがそこに追いつかず、対応していないのが現状なのです。
日本やスウェーデンのように、飢餓や戦争で亡くなる人がいない先進国で、
なぜ鬱病患者が増え、人々の幸福感が下がっているのでしょうか?
理由は “The more you get, the more you want.”(持てば持つほど欲しくなる)
の諺に集約されます。
人は生物学的に、新しい情報を得ると脳内からドーパミンが発せられ、快感を得ます。
スマホは常に新しい情報(コンテンツ)を提供してきて、終わりがありません。
スマホを持っていると、常にキャッチ・アップが必要となります。
特に人は「不確かな未来に期待する」という本能があり(だから宝くじの人気があり、ギャンブルにハマる人がいるということ)を、スマホはそこに上手くつけこんで、私達を支配し、中毒にします。
新しい情報を持てば持つほど、もっと次の情報が欲しくなり、
しかも若い人ほど、SNSで周りの人と自分を比べて、劣等感を感じる傾向にあります。
かといって、「スマホを使うのをやめよう!」というわけには行きません。
この本で著者が提示している解決策は、次のものです。
🔴スマホは、仕事中・学校にいる間は使わない
🔴定期的に、適度の運動をする(運動が幸福感を上げる)
🔴十分な睡眠をとる
🔴人と会って会話を楽しむ。その間、スマホは電源を切る。
ここからは私自身の考えになります。
私は現在、生徒さんたちにラインで宿題の連絡をしています。
「このYou Tube動画を見てきて、感想をラインして下さい」
「問題集の●●ページを解いたら、写真を撮ってラインしてね」
といった具合です。
今日も、生徒さん達と一緒に、私のスマホのiMovieのアプリを使って、
一緒に英語ニュースの動画を録音する予定です。
なので、スマホを活用はしていますが、スマホ中毒で朝起きられない、勉強に集中できない、という生徒さんは自分の知る限りいないように思いますが、
本書を読んで、自分や家族の生活で、そして塾講師として生徒さんたちのために実行しようと思ったことは、次の3つです。
🔴想像力を育てる授業をする
今の時代、スマホでいくらでも画像や情報が入ってくるので、言葉から想像を広げたり(絵を描いてもらったり)、物語を読んで登場人物の心情を想像したりする活動をしたいです。
🔴自己表現(アート、プレゼンなど)の喜びを伝える
情報を受け取るだけでなく、自分から発信・表現する力を育てたいです。自分自身で言うと、曲作りと歌が幸福感を与えてくれます。楽器の演奏、絵を描く、料理などもクリエイティブな活動でしょう。生徒さん達には、英語で朗読/スピーチ/プレゼンすることを通して、自己表現の喜びを味わってほしいです。
ちなみに先週、私の塾で、中3生のクラスで「絵本の朗読コンテスト」を行いましたが、生徒さん達の顔が生き生きとしていました!
🔴手書きを大事に
英語ニュース教材を作る時、いきなりパソコンに打ち込むことが少なくありません。しかし、あまりにも情報が多くて取捨選択を要求される時は、紙に書き出しています。今回の読書感想文も『頭がいい人はなぜ方眼ノートを使うのか?』を参考に、見様見真似で紙に書き出してから感想文にしました。手書きをした方が、頭が賢くなっている気がするので(自分の主観ですが)、中高生の生徒さん達にも手書きの大切さを話したいと思います。
『頭がいい人はなぜ方眼ノートを使うのか?』