★Mathew28:19~19
Therefore, go and make disciples of all nations, baptizing them in the name of the Father
and of the Son and of the Holy Spirit, 20 and teaching them to obey everything I have
commanded you. And surely I am with you always, to the very end of the age.”
★マタイの福音書28章19~20節
19 だから、あなたがたは行って、全ての民を私の弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の
名によって洗礼を授け、20 あなたがたに命じておいたことを全て守るように教えなさい。
私は世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。
アイルランドの祝日、3月17日のSt. Patrick’s Day(聖パトリックの日)について紹介します。
St. Patrick(聖人パトリックさん)は、5世紀頃、アイルランドにキリスト教(カトリック)を広めた司教様です。
私の通っていた中学・高校はプロテスタントだったので、カトリックの記念日はお祝いしたことがありません。
そのため、St. Patrick’s Dayについては何も知らず、大人になってから歴史や文化を勉強しました。
まず、St.(Saintの略語):Saint(聖人)とは…
「他のクリスチャンの模範となる偉大な行いをした信者」をカトリック教会が認定するものです。
日本にキリスト教を伝えたザビエルさんや、マザー・テレサも聖人に認定されています。
カトリック信者が人口の85%近くを占めるアイルランドでは、St. Patrickは深く尊敬されており、
彼の命日の3月17日が、国民の祝日となっているのです。
しかし正確には、この祝日を祝うのはアイルランドだけではありません。
イギリス、アメリカ、オーストラリア、カナダでも、St. Patrick’s Dayは大きくお祝いされています。
それは19~20世紀にかけて、アイルランドで飢饉があり、多くのアイルランド人が海外に移住し、
コミュニティを作ったからです。
アイリッシュの有名人は数多く、バイデン大統領や、ケネディ大統領、
俳優のレオナルド・ディカプリオもアイリッシュ系移民です。
私の大好きなBackstreet BoysのNickやHowieも、ご家族はアイリッシュ。
その日はどんな風に過ごすかと言うと…教会のミサに行ってお祈りをするほか、
緑色のもの(シャムロック)を身に着けてパレードに出たり、緑色のビールを飲んだり、
緑色のベーグルを食べたりするそうです。
特に有名なのは、3月17日に鮮やかなグリーンに染まるシカゴ川。
ロンドン・アイ(ロンドンの観覧車)やシドニー・オペラ・ハウスも、
この日はグリーンにライトアップします。
映画では、ハリソン・フォード主演の『逃亡者』にもSt. Patrick’s Dayのパレードの場面が出てきます。
さて、今日はそんな聖パトリックと関わりの深い聖書の言葉を紹介します。
パトリックはイギリスのウェールズで生まれました。両親共にクリスチャンで、母は聖書を教える先生でした。
彼は16歳の時、アイルランドの海賊に誘拐され、6年間、羊飼いの主人の下で奴隷として働きます。
つらい労働をさせられ、虐待される中、彼は毎日、神に祈り続けました。
そんなある日、神に出会い、神の声を聞いたのです!
神の声に従って牧場を脱走。故郷のウェールズに戻り、無事に家族と再会できたのでした。
神に救われたことを感謝した彼は、フランスの神学校に留学。7年間の勉強の後で帰国し、
「アイルランドの人々に、キリスト教を伝道しよう」と決意します。
家族は大反対しました。
「あなたを誘拐し、奴隷として働かせた野蛮な国に、なぜ戻るの?」と。
しかし、聖パトリックの決意は固かったのです。
彼は、次の聖書の言葉を思い出しました。
★マルコの福音書16章15節イエスは彼らにこう言われた。
「全世界に出て行き、全ての造られた者に、福音を宣べ伝えなさい。」
★Mark16:15
He said to them, “Go into all the world and preach the gospel to all creation.
そして、当時ほとんどキリスト教徒のいなかったアイルランドに行き、福音を宣べ伝えた結果…
多くのアイルランドの人々がキリスト教徒となりました。
しかも当時のアイルランドでは、ドルイド教という別の宗教を信じる人が圧倒的多数だったにもかかわらず、
聖パトリックはドルイド教徒を弾圧や攻撃することなく、
平和的にカトリック信者を増やしたと言われているのです。
この時、聖パトリックが伝道に用いたのが「シャムロック」という、
三つ葉のクローバーによく似た植物でした。
彼はシャムロックを手にしながら「三位一体」の教えを説いたので、
いつしかシャムロックは、聖パトリックのシンボルとなりました。
「三位一体」とは何か?
この言葉は聖書に出てくるわけではありませんが、
「父(天の父)、子(イエス・キリストのこと)、聖霊」の3つが合わさって、初めて一つの神になる、
というキリスト教の根幹となる思想を指します。(※冒頭の聖句参照)
キリスト教会の礼拝では、毎回のようによく聞く言葉です。
私は数年前、春江一也の『プラハの春』という小説を読んだ時、初めてキリスト教の伝道師ザビエルさんの
気持ちを考えました。ヨーロッパから遠い「日本」という国へ伝道に行く時、
「もう母国に戻ってこれないかもしれない。それでも、まだ神を知らない人に福音を伝えたい。
それが神から与えられた自分の使命だ」
…そんな風に、ザビエルは思っていたのでしょう。聖パトリックも同じ気持ちだったと思います。
聖書にはこのような聖句があります。
★使徒行伝1:8
しかし、聖霊があなたがたの上に臨まれる時、あなたがたは力を受けます。
そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、私の証人となります。
★Acts 1:8
but you will receive power when the Holy Spirit has come upon you; and you shall be My witnesses
both in Jerusalem, and in all Judea and Samaria,and even to the remotest part of the earth.
ザビエルにとって、日本は「地の果て」だったのではないかと思います。
それでも、数か月の船旅を経て、彼は日本へ福音を伝えに来ました。
アイルランドも「遠い遠い、地の果て」と考えられていたかもしれません。
それでも聖パトリックは、家族の大反対を押し切って、異教徒の住む国アイルランドへ、
神の教えを伝えに行ったのだと思います。
奴隷だった時代にパトリックが出会った神様。
それは、どんなに力強く彼を支え、彼の人生を完全に変えてしまったのだろう…と、想像しました。
3月17日になったら、世界の各地で聖パトリックのパレードが行われるでしょう。
ニュースでそのお祝いの様子を見たら、皆さんも今日の記事の内容を、そっと心の片隅で、
思い出してみて下さいね。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
Thank you for reading. Have a nice day!